文藝と絵畫

芸術に関して思うところ、芸術の試み、日々の雑感。

2014-06-16から1日間の記事一覧

詩『回る』

回る イヴ・タンギーへ直線上の回転木馬、 繰り返していたい、そう、いつまでも。 気づかぬ間に刻まれた目盛りを過ぎると、 無償の美しさは溶け出す。 眩暈がその中腹あたりに到達した際、 後方へと、長い髪が重い風に靡いた。 そこで、ついに、 観測者、「…

マラルメのこと

マラルメの、人間方向への探索、それが行き着く先は一冊の書物である。イジチュールの内容は、存在の絶対への探索であり、それが一冊の本となっているため、マラルメの命題を象徴している、というよりはそのまま表している。しかし未完であるために、後の解…

未・人は罠に

呪われた探索者は取り憑かれているのだ、帰一の間逆にある「数」、存 在の中の狂気に、イジチュールの方向に。そして数が彼に宿る時、顕現する、「現在」が、現在に。それはバベルの塔の建設が、なぜ禁じられたかという問題に帰着する。実際、天にも届くかと…

芸術一考

西洋の価値観はプラトンのイデア、すなわち永遠不変の「有」があるという立場によるものであり、それは理知の美、豪奢の美、自然を理知 によって組み上げる美である。西洋の城に付属する、入念な組み合わせが施された庭は自然の恣意的解釈の最たるものであり…

ヴァレリー『海辺の墓地』考

私は文学に己を見る。そして文学は私を見る。対の太陽=死の元でのヴァレリーの海=生との交感はともすれば文学との交感であったのかもしれない。20年間に渡る沈潜の末に発表されたという点もそこに大いに関係しているだろう。この詩を書くこと自体が交感な…

ポール・ヴァレリー研究

『海辺の墓地』125行目より ああ、太陽は…… 魂にとっては 何という 亀の影か、 大股で走って不動のアキレスは。 「太陽よ、お前は死を仮面で覆っている」(『蛇の素描』より)という言 葉から考えて、太陽=死とするならば、人間が抱く永遠という理想は結局実…